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架空アトラクション
「沈没船ツアー」

 

【社外秘】
〈サウス・オーシャンエリア〉「ポセイドン・ツアー」の台本です。
担当キャストは必ず暗記すること。

《アトラクション概要》
(所要時間:
10分 定員:44名 
身長制限:100cm以上 ※未就学児は保護者の同伴が必要 提供:ネーロカンパニー)


沈没船「ポセイドン」を見るため、潜水艇に乗り海底を目指します。ところが潜水艇は試作品。なかなか思うように動きません。おまけに映画「ポセイドン」さながらの巨大な海洋生物が、ゲストの目前に迫ります。恐ろしい生物から逃げまどい、スリル満点の潜水の後。あなたは、沈没船をその目で見ることができるのでしょうか。

《注意点》
◇乗下船時の誘導もお願いします。
◆「マイル」の演じ方はあなた次第です。名物キャスト目指して頑張りましょう!
◇レバー、ボタンなどのアクションはタイミングをしっかり合わせて、後方のゲストにもわかりやすくすること。
◆台詞が飛んでも、アドリブで繋いでください。ただし博士の音声は録音声なので、掛け合いを意識して合わせてください。

《登場人物》
キャスト:

(性別不問)

本アトラクションの案内係。博士の助手「マイル」も兼ねる。博士の目を盗み、潜水艇のテスト潜航を決行する。


博士:

(性別不問)

潜水艇「トライデント3号」の開発者。研究熱心で自信家だが、実際に作ったシステムには粗が多い。

《用語》
・「ポセイドン号」…水深四千メートルの海底にある沈没船。元は超豪華客船で、映画にもなった。
・「オーシャンゴッド社」…ポセイドン号の遊覧ツアーを運営する会社。政府から資金援助を受け、潜水艦の開発もしている。
・「トライデント
3号」…博士が開発した観光潜水艇。最新技術を謳い、超高速で海底まで潜ることができるが、色々と難がある。

✄-------------------✄

​※という体です。

15分程度。
・一人称、口調、語尾等変更、アドリブ→○

​・同内容で博士が女性口調のver.2.0もあります。​​

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ー(待機レーンにて、ゲストに向けた映像)

博士:

沈没船「ポセイドン号」を生で見られるのは、この私の最高傑作だけ!オーシャンゴッド社の観光潜水艇(せんすいてい)、トライデント3号。試作段階ではまあ……いろいろあったわけだが、今度こそは万全なはず。うーん、潜航(せんこう)テストが待ちきれん! よし、そうと決まれば本部に戻って、早速プロモーションだ! おい、マイル! どこにいるー?

ー(船着場)

キャスト:

お待たせしました。お客様、何名様ですか? ……かしこまりました。こちらへどうぞ。

ー(船着場上部のスクリーン映像)

博士:

……まあ良い。ここらでシミュレーションといこうじゃないか。

「……おっほん。諸君、手荷物は足元のネットの中へ。安全ベルトは座席の右側にある。右から左へ、このように締めるのだ。潜航中は立ち上がったり、窓を叩いたりしないように。飲食も禁止だ。怖じ気付いた奴は、回れ右して帰れ。以上!」

……こんな感じだな。ふふっ、実際に客を乗せるのが楽しみだ。

ー(ゲスト乗船後)

キャスト:

奥から順に詰めてお座り下さい。安全ベルトの着用をお願いします。

 

博士:

(以下、無線)それにしてもマイルの奴は一体どこへ行ったんだ。これから検査が山ほどあるというのに。……いや、待て。そういえば、トライデントスリーはどこだ?

キャスト:

ベルト、確認しますね。……はい、OKです。それではドアを閉めますね。出発進行! いってきまーす。

ー(潜航開始)

キャスト:

皆さん、こんにちは。ポセイドンツアーへようこそ! 私は本日、皆さんの案内を務めますマイルと申します。どうぞよろしくお願いします。

……さて皆さん、ご存じでしょうか。1896年に、とある豪華客船が、巨大な海洋生物に襲われ浸水、あえなく沈没しました。その話を元にできた映画が、かの有名なテアム・ピトリー監督による「ポセイドン」です。そして事故から78年経った1974年、ここ太平洋の水深四千メートルで、海底に沈むポセイドン号が発見されました。悲劇の沈没船をこの目で見たいと多くの人が焦がれたものの、いまだ叶うことはありませんでした。そんなポセイドン号を、なんと生でご覧頂けるのがこの潜水艇(せんすいてい)なんです! ただ今皆さんにご乗船頂いているのは、トライデント3号。当オーシャンゴッド社の最新技術を駆使した、超高速・潜水艇です。

博士:

馬鹿者ー!

キャスト:

わっ! ちょっ、なんですか博士! せっかくいいところだったのに―

 

博士:

こちら本部。あーあー、聞こえているな? その船はまだ試作段階だ。勝手に持ち出すなど言語道断。マイル! お前、今どこにいる?

 

キャスト:

さあ、どこだろうなー?

博士:

位置情報を切ってやがる……。おお、神よ。まさかとは思うが、それで客を乗せたりはしていないよな?

キャスト:

ふんふんふーん。なんのことですかねー? ……通信切るボタンどこだろう? ここか?いやここかなー?

博士:

諸君、よく聞け。そのトライデントスリーは試作品だ。確かに計算上は、千気圧の水圧がかかっても問題ないことになっている。だが、実証実験も検査もまだ済んでおらん。深海は未知の領域だ。理論上は可能だとしても、どんな不測の事態が起きたとて、おかしくない。今ならまだ間に合う。すぐに引き返せ!

キャスト:

えー。博士だって、早く動かしたいって言ってたじゃないですかあ。今日は沢山のお客さんも遊びに来ているし、絶好のチャンスなのに。

博士:

うっ。……それとこれとは話が別だ。人の命がかかってるんだぞ! おい、マイル。彼らをどう騙したのかは知らんが、すぐに戻ってこい! つい先日、トライデントツーが例の特異点で消息を絶ったばかりだろう。いくら私の技術が素晴らしいとはいえ、そんな中を潜水とは正気の沙汰と思えん。聞いとるか! おい、返事しろ―

キャスト:

という説もありますが、ご安心を。この船は最大五十ノット、つまり時速百キロで、水深一万メートルまで潜水することが出来ます。強度も問題ありません。たとえ岩にぶつかっても、サメにかじられても、傷一つ付きませんよ。軍事用の潜水艦と同じ、とっても頑丈な素材でできているんです! また万が一の場合でも、システムが自動で異常を検知して、海面まで浮上しますのでご心配なく。それでは、快適な潜水の旅をお楽しみください!

博士:

本部より! 緊急事態発生。トライデントスリーが多数の乗客を乗せ、逃亡中。至急応援求む。繰り返す―

キャスト:

さてさて、皆さんの左手に見えて参りましたのは、かの有名な超大型哺乳類、マッコウクジラです。大きいですねー。続いて見えますのはイワシの群れです。綺麗ですねー。ご覧下さい、あちらにはタカアシガニが見えます! あんなに長いと食べ応えありそうですねえ、美味しそう。

博士:

なぜ誰も応答しない! くそっ! …… マイル、今すぐ帰ってこい。さもないと後悔することになるぞ!

キャスト:

ここからどんどんスピードを上げていきますよ。おや、サメが目の前を横切りました。でも大丈夫。この船体にはレーザー砲が搭載されています。どんなに獰猛な海洋生物も、こいつを食らったらひとたまりもありません。動物愛護団体? 知りません、そんなの。

博士:

えー、えー。本部からトライデントスリーへ。今からお前の位置を特定して、システムをハッキングしてやる。聞こえてるか?

キャスト:

ただ今、水深千メートル。随分前から真っ暗ですが、ライトがありますのでご心配なく。このライトは二十メートル先まで照らしてくれるんですよ。だんだんとなじみのある魚もいなくなってきましたね。なんでも、水深二百メートル以上は、深海と呼ぶんだそうです。まだまだ謎が多く、未知の生物もいるとかいないとか。

博士:

はあ? ハッキングには、あと数時間かかるだと……? それでは海底まで到達してしまう! いや、到達するならいいのか。他に潜水艇は―ああ、今はあいつしかいないんだった! ……どうする。事故が起きれば、会社は倒産。政府からの補助金も打ち切られてしまう。客がいるなら、もみ消すわけにも……ううむ。

キャスト:

ふふん。こちらトライデントスリーから本部へ。博士、そろそろ位置情報を公開してもいいですよ? 観念して、後方支援お願いします!

博士:

……いや、前向きに考えよう。このツアーが成功すれば、私は研究者としての名を知らしめることができる。ツアー代金も吊り上げれば、一人三千万円は取れるな。ふふふ……ははは! いいだろう。位置情報は……なるほど、今はそこか。まもなくトライデントツーの遭難信号があった地点のようだ。周囲の警戒を怠るな。

キャスト:

了解。まあ大丈夫でしょう。我々は何があってもこのツアーを続けますよ。デカいサメが来たら、このレーザー砲をぶっぱなしてやりますからね! ……え? でっかい影が横切った? どうせさっきのクジラでしょ。それか、カニ。……あ。今、見えましたね。あー……。カニ、じゃなさそうですね。

博士:

トラインデントスリー、何があった?

キャスト:

でっかくて、細長ーい、何かが、近付いてます。

博士:

はあ? なんだそれは。

キャスト:

吸盤がついてて……足をそうめんにしたり、お寿司にしたりする、アイツのような……。

博士:

巨大イカ……もしや、ダイオウイカか? はっきり言え、この馬鹿タレが。

 

キャスト:

皆さん、落ち着いてください。この船を二重、三重巻きにできるくらい長ーい足ですが、こちらが何もしなければ、きっと大人しく通り過ぎてくれるはずです。

 

博士:

ふむ、気性については聞いたこともないが、何せ未知の生物だ。用心するに越したことはないな。対象までの距離は?

キャスト:

わかりません。ライトで見えるのは足だけです。この潜水艇によーく似た何かを、ぐるぐる巻きにしています。

博士:

よく似た何かって何だ、まさかトライデントツーか?

キャスト:

考えたくないけど絶対そう! あれ? 急に見えなくなった。……下? 前? 後ろ? どこ行った? あれ? 皆さん、分かります? わわっ、揺れた! パンチしてきましたよ!

博士:

落ち着け、レーザー砲を撃つんだ。

キャスト:

ああ、そうだった。よーし、すぐにその足をぶつ切りにしてやるからな。ぶった切って串に刺したら、みんなでイカ焼きパーティーをしましょう。略してイカパ! 

 

博士:

レーザー砲の使用を許可する。使い方はわかるな? 青色のレバーを引くんだ。

キャスト:

了解! こうかな? (レバーを引く)……あれ? 動かない。くそっ、くそ!(何回も引く)動け、このポンコツ! ちょっと博士、なんで!?

博士:

安全装置の解除だ! 念の為、コード入力が必要となっている。確かコードは……ええと、ピーオーエス、スリースリー……

キャスト:

それ何文字あるんです?

博士:

ざっと百文字だな。

キャスト:

む、無理です! バック、バックしましょう! って、追いかけてくるし! もう、しつこいなー!

博士:

ならば、すぐに浮上するんだ。赤いランプのボタンを押せ。

キャスト:

赤いランプ……あった! えい! (赤いボタンを押す)これでいいですか?

 

博士:

ああ。これで、五分後に浮上装置が起動するだろう。それまで持ちこたえられそうか?

キャスト:

無茶言わないでください! あと一分でイカのおもちゃの仲間入りですよ! そうだ、一か八かで下へ潜りましょう。ポセイドン号まで到達すれば、あのイカの気もそれるはず!

 

博士:

馬鹿者! 急降下は船体に負荷がかかる。最悪、水圧で爆縮(ばくしゅく)して、全員あの世行き―

キャスト:

すみません、もう遅いです。さあ急いで! 皆さん、しっかり掴まってて下さい。揺れますよー。いけー!(左のレバーを下げる)頼む、最新の名に恥じない、頑丈さを見せてくれー!

​ー(船体、急降下)

博士:

……トライデントスリー。生きてるか? いや……聞こえるか?

 

キャスト:

船体がミシミシ言ったような気もしますが、なんとか振り切りましたね。このくらいじゃ、びくともしないと思ったのに。

博士:

……うーん。次の潜水は絶望的だな。それ、作るのに三億かかったのに……。

 

キャスト:

三億でこれですか。博士、もしかして費用ケチってます? あ! まさか懐に入れたりしてませんよね?

博士:

……ノーコメントだ。まもなく水深四千メートル。ポセイドン号はすぐ近くのはずだ。

キャスト:

もう着いたんですか? そっか、さっきの潜水で一気に到達したんですね。皆さん、船酔いは大丈夫ですか? (正面にポセイドン号が見える)……おお! ご覧ください。こちらがかの有名なポセイドン号です! ちょうど船首(せんしゅ)でしょうか。錆だらけのポセイドン像が見えます。そしてあの有名な、ポセイドンポーズをした柵は……お魚さんたちの住処になっていますね。時の流れを感じます。うーん、感慨深いですね。

 

博士:

ついに、ついにやったか! 私もこの目で見たかったものだ。そうだ、記念撮影は任せたぞ。

キャスト:

おっ、博士もたまには気の利いた事を言いますねえ。(カメラを構える)皆さん、笑ってー? はい、ポセイドン! …… ありがとうございます。お写真は本部に送ったので、お帰りの際にご確認下さいね。

博士:

本部よりトライデントスリーへ。まもなく、浮上装置が起動する。船体は上昇を開始。そのまま自動操縦に移行する。全員無事か?

 

キャスト:

無事です。うーん、もう少しゆっくり見て回りたかったですが……海の底は危険がいっぱいですね。でも命あってこそ、帰るまでがツアーです。

 

博士:

諸君、最後までよく頑張ってくれた。これに懲りず、また来てくれると嬉しいぞ。次こそは、最高傑作の「トライデントフォー」を用意しておこう。

 

キャスト:

今度は、ちゃんと起動できるレーザー砲にしてくださいね?

博士:

もちろんだとも。どうせなら、あと二つは付けたいな。早速、設計に取り掛かるとしよう。

キャスト:

そういえば、さっきのイカさんの写真は……うーん。暗くて映ってないですね。良かったのか悪かったのか……。あ、SNSには「ポセイドンツアー最高!」と書いておいくださいね。私との約束ですよ?

博士:

まもなく海面に浮上する。それでは諸君、また会おう!

キャスト:

本日はご乗船ありがとうございました。このアトラクションは、ネーロカンパニーの提供で運営しています。

 

ー(船着場に戻る)

キャスト:

……おかえりなさい。足元にお気をつけてお降りください。この後のパークもごゆっくりお楽しみくださいね。いってらっしゃーい。

​ーFin.(乗船お疲れさまでした)

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