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「部活動対抗デスバトル大会」
実況&解説

⚽あらすじ⚽

 

部活動同士が生死を賭けた戦いを行う異種競技戦。その名は「部活動対抗デスバトル」。謎の高校の放送部員と帰宅部外部指導員が、本場のスポーツさながらの実況&解説を繰り広げます。

一試合目→サッカー部VSバスケ部、二試合目→弓道部VSアーチェリー部。

間にニュースを挟みます。

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30分程度。 

・一人称、口調、語尾等変更→○

・アドリブ→〇

​※単位以外は漢数字にしています。読みにくい場合はお知らせください。

🏹登場人物🏹

実況:
(性別不問)
杉本(すぎもと)。放送部員。滑舌に定評があるかないかは、演者次第。たまによくわからない例えをする。


解説:
(性別不問)
大塚(おおつか)。帰宅部の外部指導員。何を指導しているのかは不明だが、ありとあらゆる知識に富んでいる。たまに適当な解説をしている。
※兼役に「ニュースキャスター」有り。

 

◇用語解説◇

・部活動対抗デスバトル大会
部活動同士が生死を賭けた戦いを行う異種競技戦。部活動内のレギュラー選手同士が競うチーム戦(例:サッカーは十一人、バスケは五人)で、個人競技の場合は同数の選手で競う。部活動内のルールは可能な限り守ることと、普段使用している道具を使える他は、何でもあり。生死を問わず地面に膝をついた選手から失格とみなす。勝敗は試合終了後の倒した人数と残り人数、ルールに沿っているかどうか等の芸術点を得点に換算して決定する。そのため、必ずしも撃破人数=得点ではない。
 
・全国デスゲーム大会
ありとあらゆる種類の生死を賭けた戦いを行う全国大会。部活動対抗デスバトルはその一種目に当たる。
 
・向川原流(むかいがわらりゅう)
鎌倉時代から続く由緒正しい弓道の流派。
 
・ゼット

200字以内の文章を気軽に投稿することができるSNS
 
・ビーバー
テレビ番組のアーカイブを視聴できるアプリ。


背景:彩 雅介@きまぐれアフター様

https://gakaisozai.seesaa.net/

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​2024.4

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実況:
デスバトル史に残る決戦の舞台・出須(です)高校グラウンドは、カラッとした秋晴れに恵まれました。やってまいりました、「第一回・部活動対抗デスバトル大会」。本大会は来年に開幕を控えた「全国デスゲーム大会」における「デスバトル部門」への出場権を賭けた大会となっております。全十四組のうち、すでに八組の部活動が試合を終え、上位三組以内に入ると、全国大会への出場権が与えられる仕組みとなっております。実況は放送部の私・杉本、解説には帰宅部外部指導員の大塚さんをお迎えしております。大塚さん、よろしくお願いします。


解説:
よろしくお願いします。


実況:
大塚さん、初めての方のために、「部活動対抗デスバトル」とはいったいどのような競技なんでしょうか。


解説:
はい。文化系・体育会系を問わず、全ての部活動が肉体的あるいは精神的な方法を用いて戦う競技です。要は、異なる部活動同士が戦い、生死問わず膝をついた選手から失格とみなすんですね。基本的にはレギュラー選手のみが出場するチーム戦ですが、個人競技の場合は同数の選手で競います。部活動内で普段使用している道具は何でも使っていただいて構いませんが、その部活の競技ルールはできる限り守る必要があります。それから、相手を倒すだけではなく、相手からの攻撃を避ける、というのも非常に重要になってきます。優勝候補はいずれも殺傷能力の高い道具を扱う部活ですから、それだけで有利と言えるでしょう。勝敗は試合終了後の倒した人数と残り人数、ルールに沿っているかどうかなどの芸術点を得点にして決定します。


実況:
ありがとうございます。さあ、第六試合の二組の部活動が各自配置につきました。熾烈な争いを繰り広げております本大会ですが、現在の優勝候補は今のところ暫定一位のフェンシング部、続いて二位の剣道部。また次の試合の弓道部にアーチェリー部と、奇しくも和洋が対立する非常にレベルの高い大会となっております。さて、第六試合はサッカー部対バスケットボール部ということですが、大塚さん。この試合、どうなるんでしょうか。


解説:
どちらも球技ですが、扱うボールも、使っていい体の部位も違いますよね。これは日頃どちらを優位に生活しているか、で変わって来るんじゃないかと思います。その点サッカーの方がやや不利なように見えますけれども、彼らは日頃からヘディングで頭蓋骨を鍛えているので、頭が単純な急所にはなり得ないんですよね。簡単には倒れないと思いますよ。ぜひ互いに遠慮せず、守りに走らない攻めの姿勢を見せていただきたいですね。


実況:
なるほど、これは勝負の行方が読めませんね。さあたった今、試合開始のゴングが鳴りました。バスケ部主将、相手へ強烈なパスもといドッジボールのように鋭い投球を繰り出す。しかし、横からサッカー部三番のこなれたヘディングが決まる。完全にブロックされました。動きが読まれています。するとバスケ部二番、ここで無数のボールを召喚。なんと、ボールを雨のように降らせる作戦です。下手なボールも数打ちゃ当たる。これは足でしかボールを操れないサッカー部には分が悪いか?


解説:
サッカー部は主将のメンタルに課題がありますから、そこを狙ったんじゃないかと思います。バスケ部、やはりインパクトのある作戦で攻めてきましたね。両者のボールはわずかに重量が違うんですよ。サッカーが
410グラムに対し、バスケは620グラム。たった210グラム、されど210グラムです。今夜の晩御飯にしたら一人分のお肉の量ですから、やはり威力は違ってくるんじゃないでしょうか。


実況:
バスケ部も伊達にテーピングをしてきたわけじゃない。数々の突き指でボールには痛めつけられてきました。当たりどころの悪さは身に染みてわかっている。もはやバスケ部とは名ばかり。逃げ惑う相手を痛めつけようと飛び交うボールは、まるで小学校のドッジボール大会のようです。一方のサッカー部、よけてばかりでは勝負がつかない。おっと、ここでサッカー部十番の足がもつれて、倒れました。不運にも近くにいた味方を巻き込み、一人また一人……九番と八番、脱落です。さあ、サッカー部十一番の選手がたまらずボールをつかみ取った。そして仕返しとばかりに、バスケ部四番を蹴りつけ転ばせる! 六番の選手はスパイクで敵の三番の足を踏む。思わず目を覆いたくなる醜い争いが繰り広げられておりますが……大塚さん、これはどういうことなんでしょうか。


解説:
十一番の選手は、本来はキーパーなんですが、今はペナルティエリアの外なので、「ハンドリング」と言う違反になりますね。文字通りの禁じ手なんですよ。相手を蹴るキッキング、わざとぶつかるファールチャージといったファウル行為によって相手が倒れやすくなるのは確かですが、見ていてあまり気持ちのいいものではありませんね。


実況:
そうですね……。彼らにとって、こんな乱闘は日常茶飯事だったのでしょうか。少しも躊躇がありません。芸術点は間違いなくマイナスでしょうか。今のプレイで脱落したのはサッカー部四名に対し、バスケ部二名。これはなりふり構っていられません! 彼らのスポーツマンシップは、今朝がた起床と同時に殴り飛ばした目覚まし時計と共に置いてきたのでしょう。故郷のお母さんが泣いていようと、関係ない。青い鳥は案外近くにいたと言いますが、サッカー部にとっての足枷も身近なところにあったのだと気づいてしまったようです。大塚さん、対するバスケ部はどうでしょうか。


解説:
はい。最初のボールさばきから、落ち着いていましたね。切り替えが早かった。サッカーのゴールとバスケのゴールですが、前者は
7.32掛ける1.44メートル、後者は直径45センチと、面積の差は優に十五倍あります。やはりコントロールの精度を鍛えるには、ゴールの大きさがものを言っているようですね。加えて、手が使えない相手への慈悲もかなぐり捨てていますから、バスケ部、今日は積極的に攻めてますよ。


実況:
なるほど。さあ、律儀にボールをドリブルしたバスケ部主将、相手の急所を狙ってシュートを決めていく。ボールを相手の頭にシュゥゥゥゥト! 超エキサイティング! サッカー部を次々となぎ倒していく。なんと、二番から五番までの選手が立て続けに倒れました。超バイオレンスだー! これで三対三の同数です。いやー、土壇場で魅せてくれましたねえ! 大塚さん。各部活動の競技人数も、それぞれのルールに則ったものなんですよね?


解説:
そうなんです。今回はバスケ部五人、サッカー部十一人で始まり、ベンチに入っている選手はカウントしません。しかし使うのが手と足と言う明確な違いがありますから、妥当なハンデと言っていいでしょうね。……うーん、サッカー部は少し手間取っているようですね。ファウルを多用するのも美しくありません。やはり人間の進化の過程で、足ではなく手を使うようになったのには意味があったということでしょうね。


実況:
はい。さあ、制限時間まで残り十秒を切りました! と、ここで構えるバスケ部主将。敵はあと三人、間に合うか? 行ける、行ける、行った〜! 最後は呆然と立ち尽くすサッカー部主将の顔面にスリーポイントシュートが決まりましたー! 今のプレイで残り人数は二対三。よって勝者は……三人の選手が残ったバスケットボール部だー! 今、得点を計算しています。出ました、
84点。順位は……四位です。四位に躍り出ました! 表彰台こそ逃しましたが、かなり健闘したんじゃないでしょうか。


解説:
サッカー部も、単独で見れば十分表彰台を狙える位置にいたんですが、相手が悪かったですね。しかしバスケ部もここまでに約半数が膝をついているわけですから、可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。両者とも、今後上位へ食い込むためには並々ならぬ努力が必要でしょうね。


実況:
そうですね。さあ現在
90点、暫定一位のフェンシング部もうかうかしていられません。勝利の女神は果たしてどの部活動に微笑んでくれるんでしょうか。スタジオでは第一試合のダイジェストが流れております。


解説:
漫画研究部対茶道部ですね。これは手に汗握る試合でした。致死量の抹茶で瞬殺を図る茶道部に対して、相手の黒歴史を瞬時に絵にして、精神的ダメージを食らわせた漫画研究部は見事でした。惜しくも芸術点が伸び悩み下位に沈みましたが、文化部としては充分見応えがありましたね。


実況:
はい。こちらの試合をもう一度ご覧になりたい方は、動画配信アプリ「ビーバー」にて放送終了後から配信予定です。ぜひダウンロードしてお待ち下さい。またこの放送は
SNSの「ゼット」とも連携しておりまして、ハッシュタグ「#部活デス」をつけて投稿していただくと、選手の応援ができます。残る部活動はあと四組、ここから逆転なるか。部活動最強を決める「第一回・部活動対抗デスバトル大会」、このあともまだまだ続いていきます! 皆様、チャンネルはそのままで。ニュースの後は、いよいよ第七試合の弓道部対アーチェリー部をお届けします。
 


―間
 


解説:
(ニュースキャスター)臨時ニュースをお伝えします。今日午前九時頃、市立出須高校で剣道の試合中だった生徒が負傷し、他にも多数の意識不明者が続出しました。警察の調べによりますと、生徒についてはフェンシングの剣が防具の隙間に刺さったと話しているようですが、どのような試合をしていたかについてはわかっておりません。また、この学校では現在何らかの大会を行っているようですが、詳細については不明です。ただ、学校周囲で救急車が目撃されていることから、危険な大会が行われている恐れがあります。警察は学校運営側に、正体不明の大会について早急に中止するよう強く呼びかけています―
 


―ノイズが入り、放送に戻る
 


実況:
先程、映像が乱れましたことを深くお詫び申し上げます。さあ、いよいよ第七試合の幕開けとなりました。本大会の優勝候補である二組の部活動が各自配置につきました。弓道部対アーチェリー部。東洋対西洋。普段は、矢の先を決して人に向けてはならぬと教えられてきましたが、今日ばかりはごめんなさい。獲物は、的ではなく人間だ。大塚さん、この試合はどうなるんでしょうか。


解説:
はい。弓の起源は旧石器時代にまで遡りますが、日本で競技人口が多いのは弓道の方ですね。ただ、弓道の基本形は鎌倉時代からあまり変わっておらず、良くも悪くも所作の美しさばかりに焦点が当てられてきました。それに対して、アーチェリーは的の中心を射ることのみを突き詰め、極限まで無駄を省いたスポーツです。的はあたって当たり前、むしろ速射が推奨されてますから、精度も手数も圧倒的に有利だと思いますよ。


実況:
なるほど。さあたった今、試合開始の合図がありました。両者ともに緊張が走ります。今回はどちらも個人競技のため、同人数での試合となります。八人の選手が約
40メートルの距離を隔てて向かい合いました。手持ちの矢が尽きるまで戦うつもりです。弓道部主将は呑気にすり足で足を開く。その間にアーチェリー部主将が弓を引く。どちらが早いか。先に引き終わったのはアーチェリーの方か。あっという間に矢が飛んでいきますが……おっと、ここで矢を弓で弾いたのは、なんと弓道部四番の選手だ。凄い動体視力です。加えて、持ち場を離れず見事な対応を見せつけました。


解説:
驚きましたね。奇跡と言っていいんじゃないでしょうか。こんなふうに弓を使っては向川原流(むかいがわらりゅう)から破門されてもおかしくありませんが、この場合は有用なフォローだったと思います。


実況:
さあ弓道部七番の選手が、弓を引いた状態で静止。会(かい)の姿勢に入りました。その間にも飛んでくる矢を防ぐのは、後ろの八番の選手。なんと二人体制で挑んでいます。対するアーチェリー部は目にも見えない速さで矢を番え、弓を引く。あっという間に飛んでいきますが、おっと。弓道部六番が介添え(かいぞえ)に合図。なんと的を弓の先端に差し込み、飛んできた矢を受け止めました!


解説:
考えましたね。師匠には怒られそうですが、動揺した様子は微塵も見せず、迷いがありません。しかし戦力が二分されてしまうわけですから、このまま守りに入りすぎないように気を付けてほしいところではありますね。


実況:
そうですね。さあ、やっとのことで矢を放った弓道部主将。この間にアーチェリー部はすでに十本は引いているかと思いますが、相手を倒すには至っておりません。弓道部は文字通り一矢報いることはできるのか。と、ここで先程主将の放った矢が真っ直ぐ向かっていく。すごい勢いだ! やられたのは……アーチェリー四番の選手の利き腕だー! よろめいた四番、尻餅をつきました。これは耐えられない強烈な一撃です! 弓道部、初めての一人目撃破となりました。大塚さん、ここまではいかがでしょうか。


解説:
武道と言えば先ほどの剣道部のことがありましたから、少し心配だったんですが、問題なかったですね。臨機応変な対応をしつつ、大まかな作法は守る。新しい武道の在り方を提示できたのではないでしょうか。とはいえまだ序盤ですから、そこまで差のつく局面ではないと思います。どちらが勝つかは未知数ですよ。


実況:
そうですね。さあ、一方のアーチェリー部。こちらも負けてはいられません。何といっても動作が早い。体感としてはおよそ弓道の三分の一といったところでしょうか。加えて正確さもありますから、膝に当たる矢の数々を我慢する弓道部との真っ向勝負であります。数打ちゃ当たるの精神で、相手の鍛え上げた強靭な肉体をいかに崩せるかが勝負だ。おっと、ここでアーチェリー部が無言の合図。全員が矢をとある方向に向けています。なんと、一点集中! 無慈悲な雨が一人に降り注ぐ! 決まるか、決まるか、……決まった~! さすがの体幹でもこれはたまりません! 避けようと傾いた弓道部六番の選手、弓を落として膝をついてしまいました!


解説:
無慈悲な作戦が功を奏しましたね。人を的にする、という非人道的行為に慣れるまで早かったのは、持ち前の狩猟本能が働いたんでしょうか。アーチェリー部、非常に安定していますよ。


実況:
大勢で一人を狙うという非道。しかしここは戦場であります。弱肉強食の世界は、さながらジュラ紀から続く自然の掟と通ずるものがあるでしょう。大塚さん、ここから弓道部はどう出るんでしょうか。


解説:
弓道は確かにアーチェリーより的にあたりにくいんですが、それによって、かえって精神が鍛えられるんですね。三本あてた、さあ残りの一本という時も、一本もあたらない時も、丁寧に引くことには変わりません。彼らの本領は、仲間が倒れた時こそ発揮されるんじゃないでしょうか。うまく取り返していくと思いますよ。


実況:
なるほど。さあ、負けじと次の一本を引き始めた弓道部主将だが、なんと小刻みに動いている! 前後左右にステップを踏んでおります。これは教本にはない動きですが、許されるんでしょうか。そこに降ってくるアーチェリー部の矢。おっと、きわどい! どうする? どうする? すんでのところでよ・け・た! いいですよ、上手くいきました! 大塚さん、弓道部、これまたアグレッシブに仕掛けていきましたね。


解説:
そうですね。ここはアーチェリー部の矢が来るのを待ってから弓を引いていると、十秒以上差がついてしまいますから、当然の策ですね。


実況:
軽快なステップで矢を避けながら、弓を引き絞った。そのまま会に入った弓道部主将、さすがは部随一の的中率と平常心だ。だがそこへ、アーチェリー部五番の矢が目前に迫る。仰け反る主将、プロスケーターも真っ青のイナバウアーを披露し回避するが、おっと! ここで突然腰を押さえてうずくまってしまった! 膝は……ついています。主将、失格です。ええ、大塚さん。今の主将の心境はどうでしょうかね?


解説:
それはもう悔しいはずですよ! 弓道は足腰を鍛えられると言われていますが、後ろ方向の動きには弱いんですよね。加えてあの動きは、五輪選手ですら命の危険があると言われていますから、やや賭けに出すぎたかもしれません。競技前にラジオ体操第一をやっていれば少しは違ったかもしれませんが、非常に悔しいですね。とは言え、主将として心に残るプレイをしてくれたと思いますよ。


実況:
弓道部、倒れた主将を横目に涙を呑んで弓を引く。これぞ平常心。弓を嗜む者として、主将が繋いでくれた命のバトンを決して無駄にはしません。一方のアーチェリー部も、腕の酷使で肩が痛みますが、ここから差をつけるには千載一遇のチャンスですから、手を休めるわけにはいきません。お互い、敵として相対する者には容赦しない。これがデスバトルの世界! 努力したものが報われるとは限らない! 厳しい現実が垣間見えました。


解説:
そうですね……でも誇っていいと思いますよ。ここには、努力した人間しかいないんですから。


実況:
繰り返しになりますが、本大会は来年に迫った全国デスゲーム大会への出場権を懸けた大会にもなっています。


解説:
それぞれ地区大会が多忙だったようで、調整に苦労したところもあるかと思いますが、頑張って欲しいですね。


実況:
さあ、両選手の数は残り六対七。アーチェリー部が僅かに有利です。この時点で表彰台は十分狙える位置にいますので、積極的にいってほしいところですね。ゼットでもたくさんのメッセージが両選手に向けて送られております。この放送はゼットと連携しておりまして、ハッシュタグ「#部活デス」をつけていただくと、皆様の投稿が反映されるようになっております。さて、残り時間は三分となりましたが、ここでアーチェリー部に異変がありました。なんと、矢が残すところ一人一本のみとなってしまったようです。


解説:
これは苦しいですね。矢の値段は弓道が六本で二万円弱、対するアーチェリーは1ダースつまり十二本で同じ値段ですから、値段だけで言えば弓道の方が断然高いはずなんですけど……数打ちゃ当たるの作戦が裏目に出てしまいましたね。一本の重みと言いますか、値段、早さに慢心して、差がついてしまった気がします。とは言え、このまま逃げ切れる可能性も十分残されてますから、一人でも多く倒しておきたいところですね。


実況:
ええ。最後の一本に賭けるアーチェリー部。それらを確実に避けようと、彼らが引き終わるのを虎視眈々と待ち構える弓道部。まさに一触即発です。アーチェリー部はまたも全員で一人を狙い撃つのか、それとも残された矢で各自が一人ずつ倒すのか。チームか個人か、究極の選択はどうなる。おおっと!? ここでマネージャーの指示を受けたアーチェリー部全員が持ち場から飛び出す! そして、なぜか弓道部に向かって走り出してしまった?!


解説:
一人の身体じゃないってことなんでしょうか。 走らなければならない理由があるとしたら……残り時間で少しでも距離を詰めて確実に仕留めるか、あるいは弓で直接殴りに行こうとしたんでしょうが……これは良くないですね。これまでの結果に賭け、芸術点はかなぐり捨てる覚悟かもしれませんが、あまりスマートじゃないように感じます。


実況:
アーチェリー部、全員が走りながら弓を引く。動けない弓道部、格好の的のはずですが……なんと、ここでアーチェリー部八番が仕留められてしまいました。残りのアーチェリー部も矢を放ちますが、全て難なく防がれてしまいます。ついに彼らは、万策尽きたのか弓を振りかざし襲い掛かる。ここで残り時間が三十秒となりました。迎え撃つ弓道部ですが、圧倒的な弓の長さを生かし近付けさせません。大塚さん、両者の弓にはどういった違いがあるんでしょうか。


解説:
はい。素材はどちらもカーボンなんですが、長さはアーチェリーが
160センチ前後であるのに対して、弓道が七尺三寸、つまり2メートル以上ありますから、近接武器としても優秀なんですよね。近づく前にあしらわれてはひとたまりもないですよ。弓道部、守りが堅いです。


実況:
さあ正真正銘のラストスパートですが、走り寄ったアーチェリー部、相手の弓に邪魔され何も出来ません! 自らの弓は虚しく空を切るばかり。手元には矢もありません。そしてここでなんと、アーチェリー部主将が勢い余ったのか滑って転んでしまった! 迫るタイムアップ! ……たった今、制限時間が終了しました。残り人数はアーチェリー部が五人、対する弓道部は六人と熱い接戦になりました。今、得点を計算しています。出ました! 部活動最強を決める、「第一回・部活動対抗デスバトル大会」……誇り高き勝者にその名を刻むのは、新星「弓道部」です! 審査の結果は
93点を記録しています。この得点は暫定一位、残りの部活が二組ですので、三位以内が確定しております! これにより、弓道部は全国大会出場決定となりました!  大塚さん、今の試合はいかがでしたでしょうか。


解説:
いやあ、最後の攻防はハラハラしましたね! どちらも積極的に攻めてくれましたし、最後まであきらめない姿勢には胸が熱くなりました。ラストで意地を見せつけましたよねぇ!


実況:
対するアーチェリー部の結果は、芸術点で大幅な減点こそありましたが、得点は
86点、順位は三位とこちらも大いに健闘しております。


解説:
後半の真っ向対決は実に見事でしたよ。清々しささえありました。表彰台がほぼ手中にある状態でどちらも積極的に攻めていった、このことを評価したいと思います。弓道部は主将が早々に倒れるというイレギュラーな事態もありましたけれども、総合的に良い試合だったのではないかと思います!


実況:
ありがとうございます。さあ、 残る試合はあと二組、ここから上位陣にどこまで食い込んでいけるか。部活動最強を決める「第一回・部活動対抗デスバトル大会」、このあと最後の試合となります。皆様チャンネルはそのままで。一旦CM入ります。

ーFin.
 

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